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可児市、サントリー、バローが親子向け講座 ボトルtoボトル 循環型社会の実現へ啓発 【2022年08月03日(水) 岐阜新聞 朝刊】 可児市とサントリー、バローが連携して、持続可能な開発目標(SDGs)と環境に対する啓発に力を入れている。7月に同市の広見小学校でリサイクルを推進するための授業を行ったほか、同市大森のバロー人材開発センターで「親子で食・プラ講座~環境博士への道~」を開き、訪れた12組29人の親子に、分別の大切さを伝えた。 環境を守ることの大切さを伝えるサントリーの青柳利美さん(右)=可児市大森、バロー人材開発センター 3者は使用済みペットボトルを新たなペットボトルへ再生するリサイクル(通称ボトルtoボトル)推進で協定を結んでいる。SDGsの大切さは分かるが、どう行動するのか分からない人が多いとして、夏休みに親子で環境について考える機会をつくった。 講座では、サントリーの青柳利美さんが「ペットボトルは9割ほどが卵パックや繊維などにリサイクルされているが、結局最後はごみになる」「ペットボトルになるのは現状で2割程度」などと説明。ボトルtoボトルは、永遠に資源として使える循環型リサイクルとして有効なため、「いずれは全てをボトルtoボトルにしたい。そのためにはキャップやラベルとの分別、飲み残しをしないよう一人一人が心がけてほしい」と話した。 同市はカーボンニュートラルの取り組みを説明し、バローはサーモン、イカのさばき方講習を開き、環境を守ることが食を守ることにつながると伝えた。参加した寺澤幸汰君(10)=同市下恵土=は「飲みかけでボトルを捨てないようにする。教えてもらったことを周りにも伝えたい」と話した。 同市環境課の中島めぐみさんは「子どもに対する啓発を重視している。環境や食など、企業が持つ強みを生かしてもらい、今後も連携していきたい」と話した。サントリー担当者の光森秀典さんは「循環型社会の実現には、多くの人に取り組んでもらわなければならないが、啓発活動は企業だけでは限界がある。自治体、企業が連携した活動が他の地域にも広がってほしい」と話した。 脱炭素、理解深める クイズや木工教室 山県市でイベント 【2022年08月03日(水) 岐阜新聞 朝刊】 山県市脱炭素協議会のイベント「サステナブル山県」が、同市大桑の四国山香りの森公園で開かれ、大勢の親子らが体験ブースに参加し、持続可能な開発目標(SDGs)や脱炭素を身近に感じた。 県産木材の廃材に色を塗る参加者=山県市大桑、四国山香りの森公園 同市は6月、温室効果ガスの排出削減を目指す「世界気候エネルギー首長誓約」に県内で初めて署名し、脱炭素に向けた政策に取り組んでいる。市民にも取り組みに対する理解を深めてもらおうと、イベントを企画した。 会場にはバードコール作りやバスクイズ大会のブースが設けられた。岐阜中央森林組合は木工教室を開き、参加者が県産木材の廃材に色を塗り、ペンダントや首飾りを作った。太陽やアニメキャラクターを描いた同市の美山小学校3年の山菅詩さん(9)は「思った通りにできて楽しかった。家に飾りたい」と話した。
SDGsスイーツ開発
規格外ミカン鮎菓子/フェアトレードコーヒーあん 市岐阜商高生が販売 【2021年12月08日(水) 岐阜新聞 朝刊】 岐阜市立岐阜商業高校(同市鏡島南)の3年生が、県の特産品や廃棄食材を使ったスイーツを開発した。7日は市役所で販売会を行い、県産イチゴ「濃姫」の大福や、規格外のミカンで作った鮎菓子などを並べ、買い求める来庁者に学びの成果を披露した。 開発したスイーツを販売する生徒=岐阜市役所 経営管理科会計コースの41人が持続可能な開発目標(SDGs)を授業で学ぶ中、岐阜の土産物をテーマにSDGsの考え方につながる商品を考えた。キャラクター・フード協会(愛知県一宮市)の大島愛子代表理事の指導を受け、市内の和菓子屋「末廣屋」「新月軒」と協力して開発を進めた。 県産イチゴの大福を考案したグループは、貧困問題に着目し、発展途上国の生産者や労働者の生活改善を促す運動「フェアトレード」で仕入れたコーヒーをあんこに練り込み、大人向けの味に仕上げた。リーダーの立木杏衣理(ついきあいり)さん(18)は「見た目がかわいくて、予想を超えた出来栄えに満足」と胸を張った。 形がふぞろいのミカンを加工し、中身の求肥(ぎゅうひ)に混ぜた鮎菓子は、誰でも食べやすい味わいにアレンジした。規格よりも小さい県産サツマイモを使ったパイ菓子も人気を集めた。普段は店頭に並べるために廃棄される県産ダイコンの葉で作ったしおりも配布した。販売会は8日も行われる。 規格外の食材でドライフルーツ 阿木高生、地元農家とSDGs リンゴやトマト…商品化目指す 【2021年10月22日(金) 岐阜新聞 朝刊】 中津川市阿木の阿木高校は、地元の未利用資源を使ったドライフルーツの加工に乗り出した。業務用厨房機器メーカーのネスター(愛知県大府市)から乾燥機の貸与を受け、地元農家とも連携を図って農業所得の向上につながる加工品の開発につなげる。 同校は、地元果樹園の規格外のリンゴやイチゴなどの果物を使い、ジャムに加工している。国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)にも絡め、持続的な農業につながる新商品の開発を目指している。同校が同社に連携を依頼したところ、5~45度の設定温度で低温除湿乾燥できる機器の貸与と技術提供という形で協力を得た。 薄くスライスしたフルーツを乾燥機の中に入れる生徒=中津川市阿木、阿木高校 同社担当者の各務(かくむ)房子さんらが19日に来校し、貸与機器の性能を説明。食品ロスに対する問題意識や健康志向の高まりとともに、ドライフルーツにも注目が集まっていると紹介した。生産科学科の生徒は、機器の性能を知るため、スライスしたリンゴや柿、キウイフルーツのほか、阿木特産営農が持ち寄ったトマトやサツマイモなどを乾燥機に入れた。 今後は加工方法や乾燥時間などを試行錯誤し、地元農家の声も取り入れて商品化を目指す。3年大山偲伸(しのぶ)さんは「いろんなことを試していきたい」と意気込む。 食品ロス配慮スイーツ完成 生ごみ堆肥で作ったサツマイモ活用 イオン各務原 岐阜各務野高生、29日販売 【2022年10月09日(日) 岐阜新聞 朝刊】 地産地消を通してSDGs(持続可能な開発目標)について学んでいる岐阜各務野高校(各務原市鵜沼各務原町)ビジネス科の3年生が7日、29日にイオンモール各務原(同市那加萱場町)で行われる食品ロス関連のイベントで販売する商品を完成させた。 浅井康史シェフ(手前右)と商品開発する生徒=各務原市鵜沼各務原町、岐阜各務野高校 商品開発には同校近くの特定医療法人フェニックスで、フードプロデューサーシェフとして働く浅井康史シェフが協力。使用する食材は環境に配慮したものを選ぼうと、生ごみで作った堆肥をまいた畑でフェニックスが栽培しているサツマイモを使用することを決めていた。 生徒たちは夏休み中にこのサツマイモを使った商品を各自で考え、浅井シェフとの話し合いの結果、「クレームブリュレ」の開発を決定。同校で行われた試食会では、香ばしい香りが食欲をそそる出来栄えに生徒たちは納得の表情を浮かべていた。 今後は10万円の売り上げ目標を達成するための販売単価の決定や宣伝方法を話し合っていくといい、岡本れもんさん(17)は「環境に配慮して作られた野菜から、こんなにおいしいデザートが完成したので多くの人に食べてもらいたい」と話した。
岐セン、一般向け強化
持続可能ブランド認知度向上へ 縫製キット、6月発売 【2022年04月23日(土) 岐阜新聞 朝刊】 染色加工の岐セン(瑞穂市牛牧、後藤勝則社長)は、一般消費者向けのサステナブル(持続可能)ブランドに縫製キットを加え、自社商品のラインアップを拡充する。6月に電子商取引(EC)サイトで取り扱いを始める。生地に好みの写真やイラストをインクジェット印刷で転写する完全受注型サービスも同時に立ち上げ、ブランドの認知度向上につなげる。 縫製キットは、長期間倉庫に保管されている生地を活用した商品。長引くコロナ禍による巣ごもり需要で、手芸キットなど手作り製品の市場が活況であることに着目し、商品化する。 第1弾としてエプロン、ポーチ、エコバッグが作れるキット3種類を発売、生地のほかボタンなどの付属品も付ける。3月に愛知県一宮市内で行われた販売会で試作品を発表し、好評を得たという。 5月にもインクジェット印刷機をそろえ、一般販売に備える。ECサイトでは同技術で転写可能なマグカップも扱う。担当者は「インクジェット印刷機の導入で、企業のノベルティグッズの受託製造も提案できるようになる。多角的にブランドを発信していきたい」と語った。 新たに展開する縫製キットに含まれる生地の試作品と、同時に展開するマグカップ ブランドはサステナブルをテーマに、一昨年に立ち上げた「ecomo class(エコモ・クラス)」。これまで、抗菌・抗ウイルスといった加工技術を施したエプロンなどの縫製済み商材を展開してきた。 最新染色機、水量を低減 環境に優しいブランド開発 【2022年05月20日(金) 岐阜新聞 朝刊】 染色に使った後の排水量が多く、エネルギー多消費型で、環境負荷の高い産業といわれてきた染色業界。持続可能な開発目標(SDGs)が世界的な取り組みになる中で環境負荷を低減しようと、岐セン(瑞穂市牛牧)は製造工程における省エネ、排水の低減、新しい加工技術の開発を進めている。 染色の工程で使う水の量を低減できる最新の染色機=瑞穂市牛牧、岐セン 国連がSDGsを提唱した2年後の2017年秋、パリの見本市で後藤勝則社長(64)ら幹部は目を見張った。非フッ素の加工材など環境に配慮した商材がもてはやされていた。欧州市場は環境に優しい加工技術へのニーズが急速に高まっていた。今後、欧州向けはサステナビリティ(持続可能性)がトレンドになると直感した。「エネルギー削減は利益面にも寄与する。社内でも挑戦してみようという空気になった」といい、18年から取り組みをスタートした。 製造工程では、使用する水や薬剤を低減できる染色機への切り替えを進める。昨年までに導入した最新式の5台は、従来比約1割の水量を減らすことができる。染色機は約40台あり、今後も更新期に合わせて切り替えていく。「環境負荷の低減につながる設備投資は、染色加工業の社会的使命」と力を込める。 新たな加工技術の開発にも取り組む。20年には持続可能性をテーマにした自社ブランド「エコモ」を立ち上げた。植物由来の撥水(はっすい)剤を使った「コモガード」は、フッ素を使わないため環境への負荷を抑えられるほか、油汚れが落ちやすい加工「コモクリーンOP」は、使用後の洗濯で簡単に汚れが落ちるため、水の使用量を少なくできる。多種多様な効能、加工を施したエコモブランド商品は、現在8種類まで増えた。 長期間倉庫に保管されているデッドストックと呼ばれる加工済み生地の再利用にも着手。自社製のエプロンやエコバッグに加工、電子商取引(EC)サイトで販売している。愛らしいデザインが印象的な自社商品の企画開発には、若手社員が主体的に関わっており、担当者は「商品を購入することで、環境負荷低減の取り組みに参画してもらいたい」とアイデアを出し合っていた。後藤社長は「日本の市場ではこれまで少なかったが、SDGsへの意識の高い消費者は確実に増えている。当社も消費者に寄り添って、環境負荷の一層の低減に努めていく」と力を込める。 持続可能性をテーマにした自社ブランド商品の企画会議で、意見を出し合う若手社員=同 【会社概要】1943年、県内11社の染色業者が合併し、岐阜県整染として設立。岐阜整染を経て、73年から現社名。ファッション衣料やユニホーム、官需制服、中東の民族衣装向けの染色加工を手がける。2014年には子会社の岐阜バイオマスパワーが、間伐材を利用した木質バイオマス発電を始めた。従業員数は約240人。21年3月期の連結売上高は48億500万円。
郷土知りSDGs学ぶ
長範みそ造り→フードマイレージを削減/ソバの栽培→地域存続へ耕作放棄地活用 【2023年03月20日(月) 岐阜新聞 朝刊】 滋賀、三重の両県に接する岐阜県南西部の大垣市上石津町。その中でも県境の時地区に、同町堂之上の時小学校はある。山に囲まれた同地区は、住民による地域の文化を生かしたまちづくりが盛ん。子どもたちは住民たちと積極的に関わり、製炭やみそ造りなどを教わる。地域で昔から続けられてきた営みを、持続可能な開発目標(SDGs)と関連づけながら学んでいる。 1月末。同校のほど近くにある集会所「時まちづくり会館」の調理場は熱気に包まれていた。時地区に伝わる地みそ「長範(ちょうはん)みそ」の仕込みが行われ、5、6年生が住民に交じって作業を体験。ゆで上げた大豆をつぶし、地元の米で作った米こうじと混ぜていく。徐々に粘り気を増すため、こねるのは重労働。6年金森祐仁(ゆうと)君(12)は「給食でも食べていて、おいしい。大豆と米、塩だけでみそができるなんて驚いた」と話す。 住民に交じって「長範みそ」を仕込む児童たち=大垣市上石津町下山、時まちづくり会館 だけでみそができるなんて驚いた」と話す。 長範みそは、大垣市との合併を機に発足した住民組織「時まちづくり活動推進実行委員会」の長範みそ部会のメンバーが、製法を知る住民に聞き取りし、2013年に復活させた。桑原政明部会長(63)は「地元でみそを手造りしていることを、大人になっても覚えていてほしい。そのためには子どもたちに体験してもらうことが一番」と語る。 同校では、古里の時地区に学び、主体的に地域に関わる子どもの育成を目指してきた。地区の魅力を、豊かな自然、長い歴史、多様な文化・産業の三つに大別し6年間で学ぶ。軸になっているのがSDGsの観点だ。例えば、みそ造りは地産地消によるフードマイレージ削減への取り組みとつながり、児童が体験するソバの栽培は耕作放棄地を活用するなど、地域を存続するための方策の一つ。総合学習を担当する篠田耕佑教諭は「SDGsは新しい言葉だが、時地区の人たちが昔から自然と実践してきたこと。そんな地域に住んでいることを誇りに思ってほしい」と期待する。 学校活動でお世話になった地域の人たちに感謝する会が先月、同校で開かれた。学習発表の場も設けられ、子どもたちはパワーポイントを使ったり、イラストに描いたりとさまざまな方法で学んだことを表現した。6年生は、学んだことを基に自身がどういう姿でありたいかを言葉にした。6年伊藤颯良(そあら)さん(12)は、豊かな自然を生かした地域の取り組みに着目。「自然を守るため、私もごみ拾いや家での節電をしたい」と身近な例を語った。 時地区で学んだ持続可能な取り組みについて発表する児童=同町堂之上、時小学校 このように活動は続けられてきたが、時地区から学校がなくなる。24年度に同町の小中学校計5校が統合、義務教育学校になることが決まっている。統合後も地域での学びを継続するため、バスで時地区を回ることを想定したオリエンテーリングコースづくりを進めている。髙見美智子校長は「時地区では住民が熱意を持ってまちづくりに取り組んでいる。少子高齢化による先細りではなく、この地域には可能性が広がっていることを子どもたちに気付かせたい」と願っている。