「大命題」脱炭素を推進
SDGs岐阜 髙橋金属(岐阜市)CO2量削減、省エネ設備導入
温室効果ガス排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルへの対応が求められる中で、脱炭素経営の取り組みを推進する鉄鋼・非鉄金属卸売の髙橋金属(岐阜市柳津町流通センター)。各事業所のエネルギー使用量を把握し、省エネ設備の導入や再生可能エネルギーへの転換を計画的に進めながら、全ての従業員が働きやすい職場づくりに取り組んでいる。
鉄鋼業は国内の産業で最も多くの二酸化炭素(CO2)を排出しており、各メーカーが脱炭素化に向けて技術革新を進めている。サプライチェーン(供給網)全体でも取り組みが加速する中で、卸売と並行して鉄鋼素材の一次加工を手がける同社は先行して脱炭素化にかじを切ってきた。高橋克郎専務は「鉄鋼業は脱炭素化が大命題になっており、しっかりと全体の流れに乗る必要がある」と狙いを語る。
まず実行したのがCO2排出量の測定だ。エネルギー使用量の大半を占める電気使用量の削減を柱に、CO2排出量の削減目標を設定した。昨年3月には科学的根拠に基づく温室効果ガス削減目標の国際指標の一つ「SBT」認定を取得した。専門家による省エネ診断を受け、取り組みを具体化させ、多くの電気を使うエアコンプレッサー(空気圧縮機)の効率的な使用をはじめ、従業員の意識を高めている。
また省エネに対応した設備投資にも積極的で、工場の稼働効率を高めている。鋼板を切断加工する安八工場(安八郡安八町)では半自動加工機を導入し、経験の浅い従業員による切断加工を可能にした。今後は各事業所に自家消費型の太陽光発電設備の順次導入を検討するほか、グループ会社のチューブ製作所(関市)では新工場を建設し、将来的にはCO2フリー工場の実現を目指す。高橋専務は「職場には外国人も多くいるので、ダイバーシティーの推進を含め、誰もが働きやすい職場にしていきたい」と話す。
昨年11月にはSDGs宣言を行った。脱炭素化を軸にした環境への配慮はもちろん、技術と品質の向上、健康経営の実践による社員の豊かな生活の実現、地域社会への貢献を目標に掲げた。実現には従業員一人一人への意識付けが重要と考えており、個人の目標を各ゴールに当てはめ、従業員の意識改革を促す。高橋専務は「従業員には環境に配慮した会社で働く意識を持ってほしい。会社に対する意識が変われば、自然と採用活動にもつながっていくと思う」と期待する。
【会社概要】1919年創業、52年設立。金属の総合商社として顧客の多様なニーズに応え、主力の伸銅品のほか、鋼材や鋼板を取り扱い、注文に合わせた加工も行う。グループ会社にはチューブ製作所(関市)と白栄精工(名古屋市)があり、従業員はグループ全体で110人。2023年6月期の売上高は約130億円。