真ちゅう端材、価値創出
SDGs岐阜 早川工業(関市) アクセサリー手作り、販売
プレス加工などを手がける早川工業(関市肥田瀬)は、加工時に出る真ちゅうの端材を活用したアクセサリー作りに取り組んでいる。担当者がアイデアを練って手作りした商品をイベントなどで販売。早川寛明社長(38)は「従業員の感性や創造性が加わり、価値が生まれるものづくりをしたい」と語り、資源を有効活用しつつ、端材に新たな価値を生み出している。 トントントン―。町工場の一角の工房で、真ちゅうを金づちでたたく音が響く。アクセサリー作りを担当しているのはパート従業員の女性2人。水栓部品の加工で出る端材をペンチで波状の模様を描いたり、リューターと呼ばれる機械で磨いたりするなどし、指輪やイヤリング、髪留め、バングルなどを完成させる。
写真/工房でアクセサリー作りに励む担当者【2024.3.15岐阜新聞掲載】
2017年、早川社長らがイベントで真ちゅうの小物雑貨を作るワークショップを開いたのがきっかけ。この時は端材を使わなかったが、翌年からこれまでスクラップ業者が引き取っていた端材を使って製作を始め、21年に工房をオープンした。単に作るだけでなく、事業計画を立てて採算性に目配りし、本業に還元することを重視している。
作った商品は工房や地元の施設、イベントなどで販売している。また、工房やイベントでワークショップも開き、一般の人がアクセサリー作りを体験し、子どもから大人まで夢中になれると好評だ。
写真/イベントで真ちゅうの端材で製作したアクセサリーを販売したブース=関市若草通、わかくさ・プラザ【2024.3.15岐阜新聞掲載】
「通常は図面通りに作るのがわれわれの仕事だが、図面のないところから自分たちが作りたいものを考えて作る。普段と違うものづくりの楽しさを実感できる」と早川社長。実際、担当者は「端材を自分がイメージした形にするのが楽しい。一つ一つ手作りで同じものはない」とやりがいを話す。
働き方にもこだわる。担当する2人は、子育て中だったり、高齢の親の世話をしたりするため、勤務時間が不規則になる。そのため、午前9時から午後4時の中で都合の良い時間に出勤し、勤務日も柔軟に対応できる勤務形態を導入。ワークショップは2人が出勤できる日に催している。小学生と園児を育てる担当者は「子どもが急に熱を出した時や行事に参加する際に休みやすく、助かっている」と話す。早川社長は「製造業で採用しにくい超短時間労働の人を採用できた。多様な働き方を実現したい」と話す。
【会社概要】1967年設立。水栓や産業用機械、自動車部品のほか、金型の製造も行っている。2023年6月期売上高3億3000万円。従業員約30人。多様な人材を活かす「ダイバーシティ経営」を推進。「LGBTフレンドリー企業」認定を受け、障害者雇用にも取り組んでいる。