紙資材を積極的に提案 環境配慮の取り組み後押し
ヤマニパッケージ(岐阜市)【2023年3月24日 岐阜新聞朝刊「SDGs岐阜」】
顧客のニーズに応える幅広い包装資材をそろえ、商品のブランドイメージを捉えたパッケージデザインの企画提案を強みにするヤマニパッケージ(岐阜市清本町)。洋菓子や贈答用の紙箱をはじめ、循環型素材の紙パッケージを中心に取り扱う同社は近年、環境に配慮した製品の提案に力を入れ、顧客のSDGs(持続可能な開発目標)の取り組みを後押ししている。
同社は包装資材の製造工場を持たない。商品を納める箱からラッピングアイテムまで約8千点の包装資材をストックし、商品ブランディングを含め、パッケージの総合プロデュースを手がける。県内の洋菓子店や食品会社、生活雑貨専門店など約1万社と取引をしており、取り扱う包装資材の約70%が紙製品だ。
「古紙を原料にする段ボール製品をはじめ、リサイクル製品が多いので、SDGsは特別意識していなかった」と話すのは矢田高士専務。それでも取引先でよりエコな製品への関心が高まると見越し、2017年から森林保全につながる「FSC認証」を取得した製品の採用を始めた。年々実績を伸ばしており、昨年は1年間に487点を作成した。また植物由来の原料を使ったバイオマスプラスチック製品の取り扱いも始め、環境意識の高い顧客への提案を強化している。
一歩先を見据えたパッケージの提案力を支えるのが人材だ。顧客の思いを形にするパッケージのデザインは女性社員が得意としており、結婚・出産に伴う離職がない職場づくりに注力する。企画室課長代理の加藤由佳さんは出産後も第一線で働いており、現在は商品カタログの作成を担う。加藤さんは「就業時間内に仕事が終わる環境になっている」と話せば、矢田専務は「業務の無駄を省いて、誰もが働きやすい職場づくりをしている」と話す。
環境配慮型の素材への転換は、原材料価格の高騰でペースダウン気味。矢田専務は「コロナ禍前はプラスチックから紙へという流れが強まったが、紙の価格高騰でプラスチックに戻す動きもある」と話す。その上で「商品の価値を高める中で、環境対応は一つの手段になる。われわれがより良い製品を提案することで、お客さんの売り上げが伸びて、さらに環境に配慮した製品に転換するサイクルをつくっていきたい」と意気込む。